事業承継税制とは
中小企業の事業承継を円滑に進めることを目的として平成20年5月に「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」いわゆる経営承継円滑化法が成立しました。この法律に基づき平成21年4月より施行された、「相続税の納税猶予制度」及び「贈与税の納税猶予制度」をあわせて「事業承継税制」と呼ばれています。
相続税の納税猶予制度
(1)相続税の納税猶予制度の概要会社の後継者である相続人が、相続により非上場会社の株式を取得し、一定の要件を満たす場合には、後継者が相続前から既に取得していた議決権株式を含め、 発行済完全議決権株式総数の3分の2に達する部分について、課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予されます。
(2)相続税の納税猶予制度の適用を受けるための要件
@計画的な承継に係る取組みについて経済産業大臣の確認を受けていること
A先代経営者(被相続人)の要件
・会社の代表者であったこと
・同族関係者とあわせて議決権株式の50%超を保有し、かつ、同族関係者内で筆頭株主であったこと 等
B後継者(相続人)の要件
・先代経営者の親族であること
・同族関係者とあわせて議決権株式の50%超を保有し、かつ、同族関係者内で筆頭株主となること
・相続のあった日から5ヶ月を経過する日に会社の代表者であること 等
C対象会社の要件
・中小企業基本法の中小企業であること
・非上場会社であること
・資産管理会社に該当しないこと 等
D経済産業大臣の認定
上記@〜Cの要件を満たしていることについて、経済産業大臣から認定を受ける必要があります。
この認定を受けるための申請は、相続開始の日から8ヶ月を経過する日までに行います。
E事業継続期間の要件
・相続税の申告期限から5年間は事業を継続する必要があり、以下の要件を満たしている必要があります。
A.認定を受けた会社の代表者であること
B.雇用(従業員数)の8割以上を維持すること
C.相続した対象株式を保有していること
F事業継続期間(5年)経過後の取扱い
納税猶予の対象となった株式を保有している限り納税猶予は継続されます。また、次の場合には、猶予されている相続税の全部 又は一部の納付が免除されます。
・当該経営者(後継者)が死亡した場合
・会社が破産又は特別清算した場合
・対象株式の時価が猶予額を下回る中、当該株式の全部の譲渡をした場合
・次の後継者に対象株式を贈与し、その後継者が取得した株式につき贈与税の納税猶予制度の適用を受ける場合
(3)相続税の納税猶予制度を受ける際の注意点
@適用は1社につき後継者1人となります
したがって、例えば2人の息子に会社を継がせたいといった場合には、あらかじめ会社を分割して、それぞれの会社を兄弟に 継がせるといった対策が必要となってきます。
A相続後5年間はリストラがしづらくなります
事業継続要件により、相続後5年間は従業員数の8割を維持しなければならないため、この間に不採算部門の撤退といったことを 行って従業員数が8割以下となってしまうと、猶予されていた相続税を納付しなければならないこととなります。 したがって、適用については会社の動向を慎重に検討するとともに、事前に事業整理を行っておくといった対策が必要となります。
B適用を受けるためには事前に経済産業大臣の確認を受けておく必要があります
適用要件にも記載しましたが、相続税の納税猶予制度を受けるためには原則として相続発生前に経済産業大臣の確認を受けておく 必要があります。
この手続は申請書といくつかの添付書類を提出するといった比較的簡単なものです。また、この経済産業大臣の確認を受けたから といって必ず事業承継税制の適用を受けなければならないということではありません。
したがって、将来的に相続税の納税猶予制度を受けることを少しでもお考えの場合には、実際に適用を受けるか否かの判断は 相続発生時点での会社の状況により判断するとして、とりあえずは事前に経済産業大臣の確認を取得しておくことをお薦めします。
贈与税の納税猶予制度
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このように事業承継税制を適用するか否かについては、会社の状況などを含めて総合的に判断する必要があります。初回無料相談を承っておりますので、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
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