Basic information

基本情報

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中国拠点設立のポイント

1.現地拠点の設立手続き

(1) 駐在員事務所(外国企業常駐代表機構)の設立
  1. 場所の決定と賃貸借契約駐在員事務所の設立申請時に適法に使用する場所の証明書の提出が求められていることから、申請前に駐在員事務所の設置場所の賃貸借契約の締結が必要となります。
  2. 全部事項証明書等の認証手続き駐在員事務所の設立申請時に、日本の法務局が発行する全部事項証明書やそのほか外国企業が設立申請時に提出する身分証明書や署名証明等の提出が求められた場合には、在日中国大使館での認証が必要となりますので、こちらも事前に準備しておく必要があります。
  3. 設立申請駐在員事務所所在地を所轄する市場監督管理局(旧工商行政管理局)に、外国企業常駐代表機構登記設立申請書と必要書類を提出し、市場監督管理局は申請を受理してから15 日以内に登記を認めるか否かを決定するとされており、早ければ申請して数日で登記されることもあります。
    当該設立登記完了後、首席代表及び代表の在留・就業手続き、税務当局での税務登記と課税確認を行い、外貨管理局での登記手続きなどを行います。
(2) 現地法人設立
  1. 提出書類準備駐在員事務所設立時と同様に、設立申請時に現地法人設立時にも固定的経営場所に関する書類の提出が求められていることから、先に会社住所登記をする場所の確保と賃貸借契約書等を準備する必要があります。
    また、出資者に係る全部事項証明書や設立申請時に提出する身分証明書や署名証明等の提出が求められた場合には、在日中国大使館での認証が必要となりますので、事前に準備しておく必要があります。
  2. 名称確認まず初めに設立する会社の名称を決め、市場監督管理局で登記をすることになります。
    従来は事前審査制となっていましたが、2021年3月より市場管理監督局のシステムに入力申請をし、システム上で類似社名などが自動でチェックされます。リスクレベルが高い場合には個別審査を再申請し、リスクレベルが低い場合には自動的に登記されます。
    なお、自動で登記されている場合でも、他社の合法的な権利を侵害している場合の責任は企業が負うこととされていますので、他社の商号等との類似性は事前に調べておく必要があります。
    また、登記された名称は2か月以内に会社設立手続きにて批准を受けることとされており、従前(6か月)に比べ保留期間が短くなっていますので注意が必要です。(会社設立前に経営範囲内に批准を必要とする事項がある場合には保留期間は1年)
    社名のルール:商号(漢字2文字以上)+業種+地域(市)+会社形態
  3. 会社設立申請2020 年より外資企業設立にあたり商務部門の事前許認可制度は終了し、企業登記システム及び国家企業信用信息情報システムにより、商務主管部門に報告を行う制度に変更されています。
    具体的には以下のステップで手続きが進められます。
    1. 市場管理監督局の企業登記システムにて必要事項(※)を報告(オンライン入力)

      報告事項:企業の基本情報、投資家及びその実質的支配者の情報、投資取引情報等の情報

    2. オンライン入力後当局側で入力内容の確認が行われ、問題なければオンライン申請が受け付けられ、正式申請書類及び他の必要書類を市場管理監督局へ提出
    3. 約1週間程度で営業許可証取得
    4. 商務部、公安部門、税務部門、社会保険管理中心にはシステムを通じて情報が同期される。
    5. 外貨管理局での外貨登記手続き
    6. 取引予定銀行で人民元基本口座、資本金口座、一般口座等開設手続き
    7. 税務局設立届、電子申告開始手続き、増値税税種確認、増値税一般納税人申請(必要に応じ)、納税口座連携手続き
    8. 輸出入取引を行う予定の場合には対外貿易初期手続きとして、商務委員会:対外経営者備案、税関:税関登記・電子口岸申請、外貨管理局:名禄登記
    なお、経営範囲の内容に応じ業界の主管部門の許可が必要な場合には、別途業界の主管部門に許可取得の申請が必要となるため、経営範囲に関連する各種業界の法令規定の確認を要する。

2.現地拠点設立前後の実務

現地拠点は上記各種行政手続きを進める一方で、現地拠点設立後の運営に当たり以下の事項について並行して準備を進めていくことになります。

(1) 会社規定類の整備

会社運営の基幹的ルールとなる会社定款のほか、就業規則、職務分掌規程、財務関連規定など最低限備え付けておく必要のある会社規定類を整備しておきます。特に従業員の利益にかかわる規定類は従業員採用前に備え付けておいた方がよいです。(従業員採用後の新設や変更には従業員への意見聴取など一定の対応が求められます。)

(2) 銀行口座開設と資本金送金

銀行口座は、人民元現金の引き出しが可能な人民元基本口座、各種取引決済用の一般口座、資本金入金専用口座を開設することが一般的ですが、基本口座は人民元の入出金口座であることから、会社所在地から近い銀行で開設し、資本金口座は日本親会社と取引のある日本の銀行の中国現地法人(銀行)の最寄りの支店で開設した方が実務上効率的です。

資本金の送金に当たっては、資本金口座の着金額が登録資本金額を満たすように送金・為替手数料は送金者側で負担するよう留意し、米ドルや人民元建てでの送金にあっては、送金当日のレートを確認し、為替レートの影響により送金額が不足することのないよう注意が必要です。

(3) 帳簿記帳

資本金が資本金口座に入金後、会社の帳簿記帳を開始します。
会社設立後早々に財務スタッフを採用できていない場合には、帳簿記帳及び税務申告手続きについて記帳代行会社に委託をすることができます。

(4) 税務局申告準備

会社設立登記完了後、税務局での申告手続きの準備を行います。
電子申告を行うための準備手続き、納税資金を口座引き落としとするための手続き、経営範囲の内容に基づく増値税事業区分(適用税率)の確認を行い、併せていつから税務申告手続きを開始するかを確認します。

(5) 増値税一般納税人手続き(発票発行準備)

中国の基幹税目の一つである増値税は、日本の消費税に類似する税金です。
会社の主な販売先や仕入先の状況に応じ、増値税控除専用発票が発行でき、かつ、仕入に係る増値税を控除することができる一般納税人を申請するか否かを検討します。
設立当初より一般納税人となることが有利と判断される場合には、一般納税人の申請と増値税控除専用発票発行の準備(専用ソフトと専用プリンターの取得等)を行い、税務当局主催の説明会等への参加が必要となります。
会社設立後早々に財務スタッフが採用できていない場合には、これらの手続を記帳代行会社等に委託することで発票発行までの準備をすすめることができます。

(6) 労務関係

労働法及び労働契約法等の労働法規が制度上、整備されており、これら労働法規に則した対応が必要となります。
従業員採用前に、最低でも労働契約書及び就業規則を整備しておく必要があります。

  1. 労働契約労働法及び労働契約法において、労働者と使用者が労働関係を確立する場合、書面の労働契約を締結しなければならないとし、使用の日から1か月以内に書面の労働契約を締結しない場合には、無固定期限労働契約が締結しているものとみなされます。
    天津市標準の労働契約書における記載事項は以下の通り。
    1. 労働契約当事者基本情報
    2. 労働契約期間(試用期間記載)
    3. 業務内容及び勤務地
    4. 就業時間と休憩休暇日
    5. 労働報酬(試用期間報酬記載)
    6. 社会保険
    7. 労働保護、労働条件と職業危険防護
    8. 労働契約解除、終止及び継続
    9. 違約責任及び違約金
    10. 労働契約違反に対する責任
    11. 双方約定事項
    12. 労働争議処理、その他
  2. 就業規則就業規則は会社における就業時のルール、労働者及び使用者双方の権利義務を明示する重要な規則であり、就業規則の制定及び変更時には所轄の労働局に届出ることとされています。
    一般的な就業規則の記載事項は以下の通り。
    1. 総則(趣旨・定義等)
    2. 人事(採用、人事考課、終了解除)
    3. 就業規律(就業時のルール)
    4. 出退勤、休暇、残業、出張等
    5. 休暇(有給休暇、傷病休暇等)
    6. 労働報酬
    7. 経済補償及び医療補助費
    8. 安全及び衛生
    9. 教育
    10. 社会保険、住宅公積金等
    11. 表彰
    12. 懲戒
    13. 労働紛争
    14. 法律責任
    15. その他
    労働紛争が生じた場合、会社のルールとして就業規則にどのように規定されているかが重要な判断要素の一つとなりますので、就業規則を適切に整備しておくことが肝要です。

中国への進出や中国現地拠点の設立、設立後の会計税務業務、就業規則整備等に関するご相談のある方は、お気軽にお問い合わせください。

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